時と天文の用語集
時
西暦1582年に、ローマ法王グレゴリオ13世が制定した暦で、現在、世界中のほとんどの国が使用しています。
それまでは、紀元前46年にユリウス・シーザーが制定したユリウス暦が使われていましたが、3月21日頃にあるはずの春分が、16世紀には3月11日になっていることが、ローマの天文学者や数学者、僧侶たちの研究でわかりました。
その原因は、閏年の置き方が4年に1回となっていたためです。
グレゴリオ13世は、1582年に暦法を改めることを決め、1582年10月4日の次の日を10月15日として、翌年からの春分を3月21日頃になるようにしました。そして、閏年を400年間に3回はぶくことに改めました。
グレゴリオ暦の採用年は、国によって異なります。主な国の採用年は、次の通りです。
西暦
採用年:主な国々
1582年:イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ポーランド
1587年:ハンガリー
1700年:ドイツ、オランダ、デンマーク
1752年:イギリス
1753年:スエーデン
1872年:日本(実施は1873年、明治6年)
1912年:中国
1915年:ブルガリア
1917年:ロシア(10月にロシア革命、11月にソビエト連邦樹立)
1919年:ユーゴスラビア、ルーマニア
1923年:ギリシャ
「経緯度原点」とは、地図原点とも言います。日本経緯度原点は、測量法施行令第2条に次のように明記されています。(2011年改正)
(日本経緯度原点及び日本水準原点)
第二条
法第十一条第一項第四号に規定する日本経緯度原点の地点及び原点数値は、次のとおりとする。
一 地点 東京都港区麻布台二丁目十八番一地内日本経緯度原点金属標の十字の交点
二 原点数値 次に掲げる値
イ 経度 東経百三十九度四十四分二十八秒八八六九
ロ 緯度 北緯三十五度三十九分二十九秒一五七二
ハ 原点方位角 三十二度二十分四十六秒二〇九
(前号の地点において真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷一番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角)
2 法第十一条第一項第四号 に規定する日本水準原点の地点及び原点数値は、次のとおりとする。
一 地点 東京都千代田区永田町一丁目一番二地内水準点標石の水晶板の零分画線の中点
二 原点数値 東京湾平均海面上二十四・三九〇〇メートル
(長半径及び扁平率)
第三条 法第十一条第三項第一号 に規定する長半径及び扁平率の政令で定める値は、次のとおりとする。
一 長半径 六百三十七万八千百三十七メートル
二 扁平率 二百九十八・二五七二二二一〇一分の一
よく「JJYは何の頭文字ですか」という質問がありますが、JJYというのは日本の標準電波を発信している無線局の呼出符号(コールサイン)です。下記にJJY標準電波の諸元を示します。
長波
呼出符号:JJY(標準周波数局)
送信所:おおたかどや山標準電波送信所(福島県田村郡都路村)
空中線出力:50kW
周波数:40KHz
1999(平成11)年6月10日開局(旧JG2AS)
呼出符号:JJY(標準周波数局)
送信所:はがね山標準電波送信所(佐賀県佐賀郡富士町と福岡県前原市との境界にある羽金山山頂付近)
空中線出力:50kW
周波数:60KHz
2001(平成13)年10月1日開局
短波(閉局)
呼出符号:JJY(標準周波数局)
送信所:NTT名崎無線送信所(茨城県猿島郡三和町)
空中線出力:2kW
周波数:5.8.10MHz
(注)この短波(5,8,10MHz)の標準電波は2001(平成13)年3月31日12:00で廃止されました。
郵政省通信総合研究所(現・独立行政法人 情報通信研究機構)が平成7年8月1日より行っている電話回線による 標準時供給システムの愛称です。
電話回線で時刻情報を電子的にしかも 高精度で供給でき、JJY標準電波のように気象状況の影響を受けないなどの特徴があります。
エジプトのギザのピラミッド (B.C.2680-B.C.2550年) 古代文明の最も巨大な遺跡であるピラミッドは、当時の王族の墓です。ギザのピラミッドは、東西南北に正確にそろって建てられており、正確 な天文観測技術を持っていたことがうかがえます。 |
イギリスのストーンヘンジ (B.C.2800-B.C.1100年) 世界各国には先史時代の巨石建造物が残されています。 このイギリスのストーンヘンジは、直径125mもある遺跡ですが、石の配列が夏至の日の出入りの位置や夏至と冬至の月の出入りと一致することから、古代の天文観測所という説があります。 |
インドのサムラート・ヤントラ (1734年) 17世紀のインド(ムガール帝国)の政治家であったジャイ・シンⅡ世は、インド各地に巨大観測器を並べた天文台をつくりました。 この日時計はジャイプールに残っているジャンタル・マルタン(天文台)の観測器のひとつです。 サムラート・ヤントラとは「最も優れた観測器」という意味です。 |
中国の北京天文台 (1442年) 中国では、長い間の天文観測の歴史が残されています。 それぞれの時代で多くの天象台(天文台)がつくられました。 この北京に残された天文台は、元の時代のころから天文台がつくられた場所にあり、17世紀の末期に改修されたものです。 |
メキシコのチチェン・イツァーのピラミッド (300~900年) 中央アメリカのマヤ人は正確な天文観測を行っていた民族です。 このピラミッド型の神殿の階段はそれぞれ91段で、四方あわせて364段あり、神殿の入り口の一段を加えると365段となります。 これは1太陽年の日数と一致します。 |
「J.S.T.M」とは、Japan Standard Time Meridian の略で、日本標準時子午線を意味します。
実際の太陽(真太陽)が真南に来てから、翌日に真南にくるまでの時間を計ると、日によって数秒から数十秒の長短ができる。その原因は、地球の自転軸が公転面に対して23.4度傾いているためと、地球の公転速度が日によって異なるためである。
そこで、真太陽の動きを平均した太陽(平均太陽)を考え、その太陽の位置で時刻が決められている。
天文
太陽は、毎日変わらず暖かい熱と明るい光を空間に放ち続けています。そのエネルギーの源はいったいなんでしょうか?
太陽の中心部は、温度が1,500万度もあり、そこでは猛スピードで飛び回っている水素の原子核どうしが衝突して、ヘリウムなどの重い原子核 に変わっていきます。これを原子核融合反応といい、この反応がおこる ときに莫大なエネルギーが発生します。
太陽は質量が地球の33万倍もあり、太陽全体の重さのために、その中心部では密度が1立方㎝あたり160グラム、2,400億気圧もあります。しかし、この圧力に押しつぶされず太陽が球形を保っているのは、原子核融合反応によって発生したエネルギーによるからです。中心部で発生したエネルギーは、光(いろいろな波長の電磁波) となって外に出ていきます。
太陽の表面を光球面といいます。温度は約6000度。また、光球面の ところどころに黒点がみられます。
光球の上には、彩層という薄い 層があります。彩層の上には、ところどころに雲のような紅炎 (プロミネンス)が見えます。
太陽の外側には、コロナと呼ばれている稀薄なガスの層があり、皆既 日食のとき、肉眼でよく見えます。コロナのガスが太陽の強い重力に 引き込まれないで存在し続けているのは、ガスが温度100万度以上に 相当する速いスピードで動いているからです。
太陽面のところどころの狭い場所から爆発的にガスが噴出することがあります。それをフレアといい、とび出したガスは太陽風となって地球や他の惑星にさまざまな影響を及ぼしています。
太陽望遠鏡は、4階屋上の南側の観測ドームの中にあります。望遠鏡は、クーデ式の太陽観測専用の望遠鏡で、口径25㎝の主鏡で拡大された白色光の太陽像を3階の展示室 に直径139㎝(実際の太陽の10億分の1)に映しだしています。また、太陽光の一部は、Hα線の太陽像と分光器によるスペクトルを見ることができます。
この望遠鏡には、口径7.5㎝と8㎝の屈折望遠鏡が2台同架されており、それぞれテレビカメラが取り 付けられ、白色光の太陽像とHα線の太陽像を3階の展示室のテレビモニターに 映しだしています。
月は地球のまわりを公転する衛星で、直径は地球の約1/4の3,476㎞、地球からの距離は38万㎞です。
27日と7時間43分で地球のまわりを公転し、また平均29日と12時間44分ごとに太陽と同じ方向に来るので、その周期で満ち欠けをくりかえします。
月の表面には薄黒い模様が見えます。黒いところを月の海、明るいところを月の高地などといいます。明るく見える部分には多くのクレーターがあります。クレーターとはくぼみのことをいいます。月のクレーターは直径数百㎞ほどもある巨大なものから1㎜ほどの目では見えないくぼみまで無数にあります。大きなクレーターには著名な人物の名前がつけられています。
隕石とは、地上まで落下して来た天体のことで、月の石とともに人類が手にとって研究 することのできる数少ない天体です。
火星と木星の軌道の間を公転している 小惑星の破片と考えられています。また、隕石は次の三種類に分類すること ができます。
(1)鉄とニッケルを主成分とする隕鉄
(2)主にケイ酸塩鉱物からなる石質隕石
(3)石と鉄とからなる石鉄隕石
いずれも生成年代は46億年前と推定され、太陽系が誕生した頃の物質をそのまま 保っていると考えられています。
1922年にアメリカ・テキサス州のオデッサで発見された鉄隕石で、重さが20.9㎏もあります。
1882年にチリ・アタカマ砂漠で発見された石鉄隕石で、重さは1㎏です。
1960年5月に西アフリカ・ブルキナ・ファソに落下した石質隕石で、重さは3.8㎏です。
1960年10月にオーストラリア・グレートサンディー砂漠東側に落下した石質隕石で、重さは0.22㎏です。
「天文単位」とは、太陽系のひろがりをkmで表すと非常に大きな数字になるため、地球・太陽間の平均距離を1として表した単位で、1天文単位は、約1億4960万kmである。
地球は赤道方向に膨らんだ回転楕円体で、公転面に対して自転軸を23.4度傾けて公転しています。
その地球の赤道部分の膨らみに月や太陽の引力が働き自転軸を起こそうとします。
地球は自転軸を起こされまいとして、自転軸の向きを変える運動をします。
この運動を歳差運動といい、春分点の位置や北極星が約25800年の周期で変化します。