プラネタリウム


当館のプラネタリウム投影機はカールツァイス・イエナ社製で、開館当時から稼働しています。自然とそっくりの星空の下、生解説による投影をお楽しみください。

プラネタリウムとは

プラネタリウム(Planetarium)とは、プラネッツ(Planets=惑星)の動きを表現する機械という意味です。現代のプラネタリウムは、丸いドームスクリーンに実際とそっくりの星空を投影し、いろいろな天体映像を投影します。このような現代のプラネタリウムは、ドイツで誕生しました。「地上に星空を展示したい」というドイツ博物館長オスカー・フォン・ミラーの依頼を、カールツァイス社のバウエルスフェルトが中心となって実現しました。1923年10月21日、プラネタリウム第一号機をドイツ博物館で関係者向けに試験公開したところ、人々は「イエナの驚異」と絶賛しました。さらに改良がくわえられ、1925年5月7日、ドイツ博物館にプラネタリウムが常設され、大人気の展示となりました。プラネタリウムの第一号機はツァイスⅠ型といいます。ツァイスⅠ型はドイツの緯度の星空を投影できるだけでしたが、バウエルスフェルトは満足せず、世界中の星空を投影できるユニバーサルタイプのプラネタリウムを開発します。これをツァイスⅡ型といいます。(日本では1937年に大阪市立電気科学館に初導入)その後、プラネタリウムは世界中に広まりました。
国際プラネタリウム協会(IPS)では2023年から2025年にかけて、プラネタリウムの100周年を祝う記念事業を行うこととなっており、日本でも記念事業の準備が進んでいます。

当館のプラネタリウム設備

当館のプラネタリウムは、カールツァイス・イエナ社製(当時は東ドイツ)のもので、イエナ製の大型プラネタリウムとして第38台目です。現在活躍しているものとしては、日本で最も古いプラネタリウムで、1995(平成7)年の兵庫県南部地震でも当館の設備の中では唯一被害をまぬがれ、幸いにもその歴史的価値をとどめています。2012年には稼働期間の長さが日本一、世界でも第5位となり、2015年には1960年の開館日の稼働から20,000日を数えました。
高い価値のあるこの装置は、数百枚のレンズ、200枚近くの歯車、90個のランプを組み込んだ、光学、電気工学、精密機械工学の粋を結集したもので、約9,000個の恒星と太陽、月、5つの惑星、天の川、彗星、変光星、人工衛星などが投影できます。解説者はその場で、入館者の反応にあわせて投影をすることができ、肉声での解説とあわせて、より積極的なコミュニケーションをとることができます。
その日その日の星座の日周運動だけではなく、太陽が黄道上を年周運動するようす、惑星が複雑なループをえがきながら黄道十二星座の間を運動するようすが投影できます。また緯度変化操作によって南極や北極の星空も、歳差(さいさ)運動による何千年過去あるいは未来の星空も容易に、しかも短時間で見ることができます。したがって、プラネタリウム本体投影機の操作は毎回、解説台にある操作卓を手動で操作し入館者の反応に合わせて自由に日周運動や年周運動の速さを変えて投影しています。そして解説者は「ポインター」と呼ぶ矢印投影器を手に持って、生音声で解説しています。
補助投影機は、投影の演出の幅を広げる役割があります。1998年の震災リニューアル時に、全天スライド投影機(オールスカイ投影機)などを設置しました。現在、写真スライドの製作が難しくなっているとともに、デジタル技術が進んでいるために、折々のタイミングで新しい装置に置き換え、迫力あるCGやオーロラ映像などを投影しています。オールスカイ投影機の後継投影機として、全天周映像装置アマテラス、デジタルプラネタリウム機能を持つステラドームプロを設置しています。
従来のクラシカルなプラネタリウムの星空と最新の迫力あるデジタル映像の組み合わせは当館ならではのユニークなものです。
伝統的で革新的な唯一無二のプラネタリウムをお楽しみください。

当館のプラネタリウムのスペック

製造:カールツァイス・イエナ社(旧東ドイツ)
型式:Universal23/3
稼動:1960年6月10日
ドーム:直径20m
座席数:300席
投影天体現象:太陽、月、5つの惑星、恒星、銀河(天の川)、変光星、彗星、人工衛星
等星数投影能力:恒星の1等星から6等星まで全天で約9,000個
投影方式:32分割方式
恒星原板の厚み:0.015mm
恒星ランプ:100V 1000W
機械の中心の高さ:3m
機械の重さ:約2t
補助投影機
・ オールスカイ投影機(2組)
・ ビデオブロジェクター
・ 二至二分投影機、月位相投影機
・ マルチスライド投影機(5台)
・ XYズーム投影機(使用終了)
・磁気ループ式補聴システム
・全天周映像装置(オリハルコン・アマテラス+アストロアーツ・ステラドームプロ)

磁気ループ式補聴システム:明石しおさいライオンズクラブにより、磁気ループ式補聴システムが寄贈されています。

プラネタリウムのしくみと歴史展示

2階プラネタリウム入口には、プラネタリウム投影機の基本的な動作を表現した展示模型があります。また、実際に使っていた恒星投影機や恒星シャッター、日食・月食投影機、月投影機の実物も展示しています。プラネタリウムの発達史パネルは、昔の天球儀から現在のプラネタリウムがつくられるまでを一覧表にしています。また、プラネタリウムの構造図などの展示パネルがあります。

日周運動

地球の自転軸に相当する回転軸を持っており、太陽や星が見かけ上、東から西へ1日で1周する様子を再現します。

年周運動

太陽や惑星、月は毎日少しずつ見える位置が変化します。太陽は1年をかけて星空を一周し、惑星はもっと複雑な動きをします。その動きを再現します。

緯度変化

南極や北極、赤道など、世界中、どの地点から見た星空でも再現できるように、緯度を変えるための回転軸が用意されています。

歳差運動

地球の自転軸はコマの首ふり運動のように少しずつ移動していき、約2万6千年かけて元の位置に戻ります。この歳差運動を再現します。