こんにちは、館長の井上です。
1995年1月17日、平成7年兵庫県南部地震・阪神淡路大震災が発生しました。
地震発生時刻の5時46分、当館の大時計が停止しました。
大時計の停止は地震の発生時刻とその衝撃の大きさを伝える象徴的なものとなりました。
震災から30年ということで、2025年1月17日に大時計を5時46分に停止しました。
本件は広く報道され、震災30年の節目に振り返りと防災について考える役割を果たせたと思います。
関係各位には厚く感謝いたします。
こぼれ話をひとつ紹介しましょう。
大時計を止めるとき、タイミングをどうするか?ということが検討課題となりました。
当館の大時計は、3階展示室内の親時計で制御されています。地震発生により、親時計と大時計を結ぶケーブルが断線し、大時計が停止したと考えられています。それにならい、親時計から大時計を制御するスイッチを切るという作業を行えば、大時計は停止します。
では、どのタイミングでスイッチを切るか?5時46分ちょうどに止めるというのが自然な発想でした。
ところが、話はそう単純にはいきません。
当館の大時計の長針は、正時にその時刻をさしています。20秒を過ぎてゆっくり動き出し、50秒ごろに次の時刻をさして停止します。
問題は、地震発生の時刻です。調べると、正確には1月17日5時46分51.8秒だそうです。震源は明石海峡。当館から4~5㎞ほどしか離れていません。P波の速度(7㎞/s)を考慮すると、当館に地震の最初の揺れが伝わったのは52-53秒ごろでこの時点で激しい揺れがあり、このタイミングで時計が止まったと想定されます。つまり時計を止めるなら、53秒に停止するのが最も適切と考えました。
実際、時計の停止命令は5時46分53秒に出しました。このタイミングで止めた場合、実は針はほぼ47分を指しているはずですが、当時の写真と今回の時計の停止状況を比較すると、ほぼ同じ角度になっていましたので、これでよかったと思っています。
親時計を見学される際、時計の動きに注目してもらえればと思います。
非常に細々とした話ですが、またいつか時計を停止する取り組みをおこなうときの参考にメモがわりに記しておきました。